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The Dark Tide (The Adrien English Mysteries Book 5) (English Edition)
著者: Josh Lanyon
販売元: Just Joshin
発売日: 2011-12-16
種別: Kindle版
ページ数: 362ページ

多読国民のレビュー

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2015/12/10 By ホタル (評価:5点 / ジャンル:CS / YL:0.0 / 語数:81,410)
翻訳版が出る前に待ちきれなくて、原書を読んでしまいました。終わり方はちょっと気になりますが、クリスマスコーダなどを読むと幸せそうで何よりです。
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2015/05/29 By めねたおたべ (評価:5点 / ジャンル:MY / YL:6.5 / 語数:80,000)
一気読み推奨のゲイロマンスミステリシリーズです。本作は5巻(最終巻)ですが、1巻から4巻までは翻訳があります。4巻まで翻訳で読んだ後、続きが読みたくなってしまいkindleで購入しました。翻訳は2015年末に出るそうですが、翻訳を待てずに読みたくなるくらい中毒性があるというか、一気読みを誘うシリーズです。骨のあるミステリかつ恋愛小説を読みたい方におすすめします。

1巻ごとに事件は完結しますが、各巻の人間関係の進展のせいで、途中でやめるとフラストレーションがたまることうけあいです。なおロマンスミステリでゲイものなので、同性愛のベッドシーンも若干ありますのでこの点はお断りを(とてもきれいなベッドシーンですが)。

語数は概算、YLは適当です。大人向きペーパバックミステリとしてはライトで読み易い方だと思います。ただ皮肉っぽい言い回しなどかなり出てくるので、ニュアンスがよくわからない場合もけっこうありました。
その他、ミステリ小説や音楽の固有名詞も頻出しますが、読み飛ばしてもあまり問題ありません。翻訳で1巻をざーっと読むと、だいたい雰囲気がわかると思います。

1巻から4巻までは以下のタイトルです。邦訳はすべて新書館から。
#1 Fatal Shadows(『天使の影』)
#2 A Dangerous Thing(『死者の囁き』)
#3 The Hell You Say(『悪魔の聖餐』)
#4 Death of a Pirate King(『海賊王の死』)

1巻からの流れをざっと書きますと、主人公はロスでミステリの古書店を営む兼業作家、アドリアン・イングリッシュ。作家としては駆け出しですが、書店経営はうまくいっています。彼はカミングアウトしたゲイで、少年時代からの心臓病もち。少年時代からの友人の殺人事件をきっかけに、アドリアンが刑事ジェイク・リオーダンと出会うのがはじまりです(1巻)。

2巻は、新作小説の執筆に行き詰ったアドリアンが、気分転換に祖母がかつて住んでいた牧場を訪れたところ、管理人は行方不明、牧場はマリファナの栽培地となっており、さらに不審な死体まで出てきて事件発生、という流れです。アドリアンとジェイクは付き合いはじめますが、ジェイクはゲイであることを世間に隠しており、さらに交際している女性もいるため、二人の関係は微妙なものとなっています。

3巻では悪魔信仰のカルトにまつわる事件が起こります。アドリアンの書店の従業員が殺人事件の容疑者となってしまい、アドリアンは彼を助けるために危険を冒します。その一方で、あくまでもゲイであることを隠して「正常な社会生活」を守ろうとするジェイクとの関係は壊れていきます。
そして、それから2年が経過した後の4巻。アドリアンの本の映画化企画に関するパーティの席上で殺人が起こりますが、そこにはジェイクの恋人と名乗る俳優がいました。殺人犯の捜査は、やがてアドリアンとジェイクを揺さぶる決定的な事件へ発展していきます。


各巻のミステリの骨子は、好奇心旺盛で粘り強く正義感の強いアドリアンが探偵役として事件に巻き込まれていくところにあり、ネタはさまざまですが、しっかりしています。一方シリーズを通してのキモとなるのは、ゲイとしての生き方を以前から選んでいるアドリアンと、社会的立場や家族のために自分の性的志向を受け入れられず二重生活を送っているジェイクとのあいだに生まれる葛藤です。

本作5巻は、4巻の事件が解決して間もないころにはじまります。アドリアンは4巻でおきた事件や心臓の手術のために病み上がりでやつれており、リハビリしながら書店経営の仕事に少しずつ復帰しているところです。書店はというと、ビルの空き部分を買取って拡張工事の真っ最中。ところが、何十年も前に閉鎖されたまま立ち入りのなかった屋根裏に白骨化した死体がみつかります。半世紀前に失踪したとされているクラリネット奏者の死体らしいのですが、ほぼ同時期に、書店へ押し入ろうとする不審者が現れます。アドリアンは私立探偵の免許をとったジェイクに調査を依頼し、2人は協力して半世紀前の殺人を調べますが、その一方で、ジェイクはカリフォルニアを離れるつもりでいました。

今回はアクションシーンもそれなりにある4巻までとはトーンが異なり、半世紀前の殺人事件の捜査と、アドリアンと彼の家族、またアドリアンとジェイクの関係をじっくり詰めていく内容で、地味な聞き込み捜査が中心です。もっともこの事件には意外な展開があり、先読みを裏切ることが多くてけっこう驚きました。
シリーズ4巻までは、終わり方がいつも不安を与える感じで先が気になるのですが、この最終巻は、やや安心する?というか、事件の解決としてはともかく、とりあえず人間関係はすっきりおわります。えーストーリー的にはすっきりでないかもしれない…ですが、それは読む人によるでしょう。(エンディングについては、この作品をただのロマンスものにとどめていないという点で、私は高く評価しますが。)

なのでくりかえしになりますが、単独で読むのではなく、1巻から最後まで読むの推奨です。英語読むの面倒くさい方は翻訳をどうぞ。

作者のジョシュ・ラニヨンは、ゲイ小説の作家として数々の受賞歴があるとのこと。本シリーズは彼の作品でも最高傑作の呼び名が高いそうですが、納得です。シリーズ全体を通して、登場人物の書き込みが深くて読み応えがあります。主要キャラクターはかなり極端な性格の人たちで、読んでてイラッとさせられるところもあるのですが、脇役の描写にも奥行があり、娯楽ミステリといえどあなどれません。

最終巻を翻訳を待たずに読むことができ、今回、久しぶりに多読やってて良かったと思いました。
たいへん満足です(翻訳も読むと思いますが)。


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